相続税を少なくすることだけが相続対策ではありません。

たとえば、社長が長男に会社を継がせたいと考えたとします。この場合、会社の株式を長男に引き継ぐことが必要になります。しかし、他に兄弟がいる場合、生前対策を行わずに社長が死亡して相続が発生すると、株式は他の兄弟等を含めた相続人間での準共有となります。

そうなると、他の財産の状況、相続人の間の関係によっては、長男が会社の株式を引き継いで会社の支配権を維持することが難しくなる場合があります。 そうならないためには、相続が発生する前(社長が亡くなる前)の生前対策が有効になります。

また、相続税は現金で納付することが原則ですが、相続人(遺産をもらう方)が納税資金を持っていない場合や相続財産に現金預金が少ない場合は、不動産等の相続財産を売却して、その代金で相続税を納付することになります。そのためには、相続財産を売却し易い形態で所有する必要があります。


相続税を少なくしたいと考えるのは当然ですが、一般的に、相続税の額を少なくする対策は、

・納税資金を確保できない。
・相続人の間で相続財産を分割できない。

といった問題が発生しがちです。 どの不動産を残して、どの不動産を売却するのが有利か(どれを残したいか)。 売却する方法、売却相手を探す 等を総合的に勘案して生前から相続対策を行うことが重要となります。