贈与税

「○○をあげます」「もらいます」という行為は贈与であり、財産をもらった人にかかる税金が贈与税です。贈与が成立するためには、当事者の意思の合致が必要であり、子名義の預金通帳を親が子に内緒で作っただけでは贈与にはなりません。

贈与は親族間において行われることが多く、外部からはその実態が把握しにくいものです。そのため、贈与が成立していることを説明するための資料を作成して保存しておくことが重要になります。たとえば、「贈与契約書を作成する」、「入出金は銀行を通して行う」、「子供の印鑑は親とは別の印鑑を作成する」、「通帳と印鑑は子供が管理する」、「基礎控除を超える贈与を行った場合は申告書を提出する」等です。

贈与税の算出

贈与税は暦年(1月〜12月)を1計算単位とし、1年間に受けた財産の価格の合計額が贈与税額計算のスタートとなります。申告および納付は贈与を受けた翌年3月15日までに税務署への申告および納付を行います。贈与税の基礎控除は110万円になり、贈与税率は速算表に基づいて計算します。

基礎控除後
の課税価格

税率 A
%

控除額

税率 B
%

控除額

200万円以下

10

10

300万円以下

15

10万円

15

10万円

400万円以下

15

10万円

20

25万円

600万円以下

20

30万円

30

65万円

1000万円以下

30

90万円

40

125万円

1500万円以下

40

190万円

45

175万円

3000万円以下

45

265万円

50

250万円

4500万円以下

50

415万円

55

400万円

4500万円超

55

640万円

55

400万円

 

 

税率A:20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合。

税率B:上記以外の場合。


計算例

【Xさん(20歳以上)が、平成27年の1年間に父親から500万円(特例贈与)および 叔父さんから110万円(一般贈与)の贈与を受けた場合の贈与税額】

①特例贈与

      

(500万円+110万円−110万円)×20%−30万円=70万円

      

70万円×500万円/610万円=573,770円

    

②一般贈与

     

(500万円+110万円−110万円)×30%−65万円=85万円

     

85万円×110万円/610万円=153,278円

     

③贈与税額(百円未満切捨)

      

①+②=727,000円

相続時精算課税制度

相続時精算課税とは、親から子の世代への贈与をスムーズにするようにという目的でつくられたのです。 60歳以上の贈与者(祖父母や親)から20歳以上の推定相続人及び孫への贈与については、生涯を通じて2,500万円まで非課税となりました。従来からの暦年課税制度と選択して適用することとなります。メリット、デメリットがありますが上手に利用すれば節税効果が期待できます

有利な点

1.比較的大きな財産を、少ない贈与税額で子に移転することができます

2.将来、値上がりそうな財産(土地や株など)について、安い価格の時点を選んで子どもに移転することができます。これは、相続税の計算をする際に合算される財産価格の基礎が、贈与時の価格となることによるものです。

3.継続的に収益を生む財産(賃貸用アパートなど)を子どもに移転することにより、贈与後の収益を子どもに帰属させることができます。

不利な点

1.一度この制度を選択したら、取り消しすることはできません。従来の贈与税に戻すことはできず、少額の贈与でも申告しなければなりません。

2.贈与した財産が値下がりした場合においても、贈与時の高い価格を基礎として相続税が計算されます。

3.不動産の贈与について「小規模宅地等の減額特例」が適用できません。